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「皆さま、お手元の封筒の中身をご覧下さい」
右手の拘束具が自動で外れた。といっても、肩から下のみで、腕が多少、自由に動く程度。テーブルの下に隙間があった。探ってみると確かに、封筒が置かれていた。
手繰り寄せてテーブルに乗せることはできない。中身は他の人に見せちゃいけないってことね。
封筒の中身は、トランプみたいなカードが入っていた。視線を向け確認すると『赤ずきん』が描かれていた。
「カードは確認できましたか? 他人に見せても、教えてもいけませんよ? さて、このゲームには、それぞれ"5つ"の【役】が存在します。『赤ずきん』『猟師』『おばあちゃん』『狼』『羊』でございます。選ばれたカードが、あなた様の【役】となっております」
童話の赤ずきんに登場する人物になぞらえた【役割】? でも『羊』って何?
「ゲーム進行について、追ってご説明致しましょう。最初に、このゲームは狼を"当てる"ゲームではございません」
どういうこと? 『人狼ゲーム』は、村人が、狼を探しあてて処刑するゲームだけど、これは違うの?
「詳しいルールをご説明致します。このゲームは、5つの『フェイズ』によって進行致します。この言葉に意味はありません、進行の区切りを示すもので、別の言葉に置き換えていただいても結構です。
現在は第1の『フェイズ』。"役割の割り振り"が終わった。というように使います」
なるほど。親切な説明で素直に頷いてしまう。
「最終フェイズにおいて『赤ずきん』には、他の4人から、1人を選択してもらいます。なお選択が可能なのは『赤ずきん』のカードを持ったプレイヤーのみです」
私だ。私が、最後に、選ぶ側なんだ。
「さてここで、ルールを掲示致します」
画面が切り替わり、赤ずきんゲームのルールと書かれた画面が表示された。
「皆さま宜しいですか? 全てを覚える必要はございません。自分の【役】の特徴と、赤ずきんの選択肢によって"自分はどう動くのか"を考えて下さいね」
私は赤ずきんだから──春香が赤ずきんのルール部分を確認する。
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