深海への階段

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週明け。 私は未だ整理がつかず、ボーッとする脳内と体を奮い立たせて、出社した。 「柏木さん、おはようございます」 デスクに着くと、隣の席の後輩、さえちゃんがいつもの可愛い笑顔で挨拶をしてくれる。 「さえちゃん、おはよう」 「…あれ?寝不足ですか?」 ギクッと背中から音がなりそうなほど。 私は肩をビクつかせる。 「ち…ちょっとね。 昨日本読み始めたら止まらなくなって…」 「そうなんですかー。 気をつけてくださいね? お肌は正直ですから! あと、さっき結城さんが来られて、お昼一緒に行こうって言ってました」 「……ありがとう」 結城とは美来のこと。 美来は飲み仲間であり、隣の部署の同僚でもある。 さて、何をどう説明したらいいか…
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