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「大丈夫?」
目を覚ますと、私は自宅にいて、目の前には旦那ののっぺりとした顔があった。もう吐き気を催す力も残っていなかった。私はどうやら私は二重思考のひび割れの狭間に落ちてしまったようだ。憎悪集会で私は倒れて、そして自宅に運び込まれたのだ。集会で、どうして私はあんな行動を取ったのか、自分でもよく分からなかった。私はただ無我夢中で叫び声を上げたのだ。
旦那は尚も私の様子をぼけっと眺めている。
「私はやっぱりあなたが嫌い。」
私は旦那に言った。
「そう?僕は君のことが好きだけどね。」
旦那が間抜けな表情で行った。その言葉に、私も何だか気が抜けたみたいになる。
「そういう牧歌的なところが、嫌いなのよ。」
私はそう言ってから、自分が旦那のことを嫌いな理由を見つけたことに気づく。分かってしまえば、他愛のないことだ。別に旦那のことが嫌いでも、無理に愛さなくても、それでも良いと思った。
「お腹空いたでしょ。ご飯にしましょ。」
私は現実に戻ることにする。ダブったり、ズレたりすることのない、唯一の現実に。
了
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