元旦の朝

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「急に出てきたらビックリするがな」 「どうしたん?」 「それがな、恭子ちゃん、吉川さんがおらんようになってん! 死にたい言うて出て行ったらしいわ」 「ええ!」 恭子ちゃんも飛び上がって驚きました。 「それで、孫ちゃんが心配して訪ねてきたんや」 「それは、大変や。みんなで探そう!」 「助かるわ。ほな、池を見に行ってきてくれるか?」 「え? なんで池?」 恭子ちゃんは首をかしげました。 「そら、死にたい言うてたんやから、まず探すのは池やろ? この辺で死ぬんやったらあそこかな思うねん」 「何言ってるのよ。お春ちゃん。縁起でもない」 まあばあちゃんが怒りました。 「なんでやな。早いこと見つけたらんと可哀そうやがな。まだまだ冷たいで!」 「とにかく、お父さん起こしてくるわ」 恭子ちゃんがお父さんを呼びに家に入りました。
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