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お父さんが車を出してくれています。
「ほな、お孫ちゃんは、家で待っとき。もしかしたら連絡があるかもしれへんからな」
「はい」
お孫ちゃんは、すまなそうに頷きました。
後部座席に、お春ちゃんがヨッコラショっと乗りました。まあばあちゃんもヨッコラショっと乗ります。
「私もいくわ」
恭子ちゃんが言いながら、助手席に乗りました。
「恭子ちゃん、あんた、留守番は?」
お春ちゃんが聞くと、
「トモ子に頼んできた」
「そんな、ようさんで行ったら、吉川さん見つかったとき乗るとこないがな。」
「いけるよ。後ろはあと一人乗れるもん」
白い軽トラが停まりました。
「あれ、邦子のムコさん違うか?」
「おはようさん。どないしたんや、みんな出てきて。どっか行くんか?」
やっぱりオッチャンでした。
「あ、あんた、吉川さん見かけへんかったか?」
お春ちゃんが早速聞きました。
「吉川さん?」
オッチャンは首をかしげました。
「あの、あの人や。学校の先生やってて、ほれ……お豊ちゃんの……」
「ああ! あの人、見ましたで。お寺にいてはりました」
「やっぱり!」
お春ちゃんはガッツポーズをとりました。
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