●朝市で……●

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●朝市で……●

「この犬、あの時の犬か?」 朝市の帰り、近所の人にジロのことを聞かれました。ジロと出会ったあの日も朝市でした。 まあばちゃんの家の近くに児童公園があります。その公園では定期的に開かれる朝市があって、まあばあちゃんの楽しみのひとつです。 おいしい果物とパンを買いに行きます。ご近所の人もたくさん来て買い物をしています。みんな楽しく立ち話をしています。 買い物も終えてお家に帰ろうとするまあばあちゃんの後を何かついてきます。まあばあちゃんはシルバーカーを止めてゆっくり後ろを振り返りました。 「どうしたの?」 まあばあちゃんが声をかけたのは、やせてどろどろに汚れた茶色の犬でした。もう、子犬ではありません。少し大人の犬です。とってもお腹を空かしているみたいです。 まあばあちゃんは、さっき買ったばかりのパンを二つシルバーカーから取り出してその犬に少しずつちぎって食べさせました。それはまあばあちゃんのお昼ご飯でしたが、二つともその犬にあげました。 次の朝、その犬はジロと名付けられ、まあばあちゃんと一緒に楽しそうに歩いていました。いつでもどこでもジロは、まあばあちゃんと一緒です。ジロは、まあばあちゃんの子になったのです。
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