おばあちゃんの怪談話 茂平編

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おばあちゃんの怪談話 茂平編

「ねぇ……おばあちゃんは、何か怖い話、知ってる?」 トモちゃんが聞きました。 「おばあちゃんの話なんて大したことないわよ」 「どうして? 私、聞きたい!」 「……おばあちゃんの生まれた村に伝わる話でもいい?」 「うん。聞きたい聞きたい! 教えて!」 「でも、トモちゃんのお話の後に話すのは恥ずかしいわね。……これはね、私のおばあちゃんに聞いた話よ」 「おばあちゃんのおばあちゃん?」 「そうよ……」 ―― ―――― ―――――――― それは昔々の事です。 まあばあちゃんの生まれた村は、山また山に囲まれた深い山の中にありました。そこには、紅葉谷と言う美しい谷があります。断崖絶壁で上から見れば、身ぶるいするような深さだそうです。 秋には真っ赤な紅葉で、谷を覆う様は目が痛いほどの美しさだとか…… けれど、滅多なことがなければ紅葉谷に行く人はいません 。なぜなら、紅葉谷には恐ろしい言い伝えがあったのです。 秋の盛りに、燃え立つように谷を彩る赤は、人の血を吸ったから、こんなにも美しい色に染まるのだと言われていたのです。 紅葉谷のある山の麓の村に、茂平という真面目で働き者のお百姓さんがいました。茂平にはミネというお嫁さんがいたのですが、この嫁さんは大飯ぐらいで昼間から暇さえあればグーグー寝ているというような人でした。 茂平さんが入り婿なもんで、顎で使うしたたかさ。それでも茂平さんは文句も言わずに一生懸命働きました。 茂平さんには山一つ越えた村に、おっかぁがいました。この頃、体の具合が良くないと村の人から聞いて心配でなりませんでしたが、おミネさんが怖くておっかぁの様子を見に行くことができません。
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