●夜明け前の救急車

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「ひろ子とお姉ちゃんが、一生懸命考えたの。マコちゃんはね。自分の名前なのに、マコちゃんって呼ばれたことがないんだって! だからね、初めは嫌だったんだよ!」 「あら」 お豊ちゃんが、やっと声を出しました。 「ひろ子とお姉ちゃんが、マコちゃん、マコちゃんて大きな声で呼ぶから、シーッって言われたの。でも、今は平気だって!」 ひろ子ちゃんは、嬉しそうに言いました。 「それからね。スーパーの喫茶店できれいなお姉さんにお父さんですかってひろ子に聞いたのに、マコちゃんが、おじいちゃんですって言っちゃったの。そしたら、トモ子お姉ちゃんが、おなかを抱えて笑うの。どうして笑うのって聞いても、笑って答えてくれないの。ねぇ、お姉ちゃん、どうして笑ってたの?」 ひろ子ちゃんがトモちゃんに聞くと、トモちゃんはまた笑い出しました。 「ねぇ、ひろちゃん、何か忘れてない?」 邦ちゃんが、少しだけ怖い顔をして言いました。 「え?」 でも、ひろ子ちゃんは怖くないのか、キョトンとしています。 「お母さんに何か言う事ない?」 さらに邦ちゃんが言うと、ひろ子ちゃんは、一生懸命に考え始めました。 「え? え? なあに? 宿題?」 「違うでしょ」 ひろ子ちゃんは分からないようで頭をひねっています。
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