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涙は赤くない血
涙は赤くない血だというという。だから言葉という暴力で、涙を流させたならいわばそれは怪我をさせたのとおなじだ。だったら自分が今までやっていたことは、人を肉体的にも精神的にも怪我をさせてきたということなのだろうか。 あぁ、そうだよ。女は言う。
涙っていうのは赤血球を除いた液体だからね。君という人間は本当にどうしようもなく罪深いよ。なんせ、色んな人間から血をださせたのだからね。言われなくてもわかってる。だからこそ何も言い返せない。
血は涙だ。涙は血だよく考えてみなよ。例えば、人をボコボコになぐり大量の血を流す。
そして、君が大量の罵声を人にあびせ、その人は大泣きする。この二つつまり赤いか赤くないかってだけでたいしてかわらないってことだよ。 そうなのか。
ああそうだよ。肉体的な痛みを見せるのが赤い血。精神的な痛みを見せるのが透明な血。
それだけの話さ。女は言う。
だからよく覚えておくといいよ。涙を流してる人がいたらこの人は怪我をしているんだって。止血をするためにハンカチなんかを差し出してあげるのがガーゼの代わりになるんじゃないかい?そう言うと女は立ち去った
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