”嫉妬の赤”をあたしに

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一本目の映画は、とにかくゴージャスで華やかで、王家!!!! って感じの、映像美がどばどば襲ってくる超長い話だった。 やっぱり途中でトイレに行って分からなくなったり、おなかがすいてキッチンに立ったせいで分からなくなるストーリーだったけど、おおまかな雰囲気は掴めた。 夫人は、なんかとにかく王家にお嫁に来たけど、よそ者だからって酷い扱いを影で受けたり、いやがらせをされたりした。けどめちゃくちゃ王様に愛されてたから乗り越えられて、でもそれに嫉妬したトゥアーナが、王様の愛人のふりをしたせいで、怒って刺し殺しちゃった、って話だった。あたしは王様と夫人の愛にめちゃくちゃ感動して、ぽろぽろ泣いた。 でも次の日、二本目の映画を見たら、王様は愛人が一杯居るくそやろうで、トゥアーナと二人でアヴェンターク夫人を舞踏会で馬鹿にしようと相談してたので、 「はぁ? 王様めっちゃ悪者になってんじゃん!」 って、意味わからなくてめちゃくちゃ怒った。 三本目の映画は、アヴェンターク夫人がどれくらい国民にとって悪女だったかを白黒映画で説明してて、映像も怖いしめっちゃ泣いた。ホラー映画じゃん、これ。 最後の四本目は、祖国を出て、国のために王様の国にお嫁に行く一人の女性の話だった。 彼女を乗せた馬車の後ろ姿がエンディングで、あたしは、アヴェンターク夫人がどんな人か、少し理解できた気がした。 後日、あたしは分かったような口ぶりで、富田林様に映画の感想を言って、『何にも分かってないじゃないの!』と、また怒られた。
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