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どっぺるげんがあだった。「うゅぐ」わたしの口から出したこともないような声が漏れて、あなたの口角が上がる。ワルガキそのままに笑いながらいう。
「いや、あるわけないでしょ」
あるわけないならなんでしにがみなんていうんだよ! そういうゲームだからか! そうか!
本望だなんてうそっぱちだ。
ああー! 嫌いだわ!
店を出たわたしたちは二次会へと向かう。ふらりと先頭を行く爽くんと堂々と殿を行く千慧がいて、わたしは爽くんに追いつこうと歩調を速めかけて声がした。
「その腕輪と爪、おしゃれだね」
権吉くんだった。あんたが褒めるんかい。どういうタイミングだ、いま目に留まったんか。
「そうでしょ、ありがと」
うれしいものはうれしい。
「似合ってる」
「世界一?」
わたしの辞書に謙遜の文字はない。脱字だろうけどいまさら交換なんてできないのだ。
「うん!」
権吉くんの辞書には気恥ずかしいという言葉はなさそうだ。消えそうな愛想笑いを返した。
歩調を速める。
自分が好いている人と、自分を好いている人、どちらと一緒にいるのが幸福なのか、なんてことを柄にもなく考えながら。
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