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爽くんと初めて会ったのは三か月前、友達の千慧に連れられてお昼にボードゲームカフェへ初めて行ったときのことだ。千慧は予約時に、人数が多いほうが楽しそうという理由で相席オーケーにしていたみたいで、通されたテーブルにいたのが爽くんたちふたりだった。
それから五時間、わたしたちは宝石商になったりハンターになったり日本語が好きな外国人のためにカタカナ語をカタカナを使わずに説明したりプロポーズをして過ごした。
どれも初めてプレイするゲームだったけど爽くんの友達の権吉くんが説明してくれたのでなんとか理解できた。あんまり勝てなかったけど、みんな得点計算なんておざなりになるくらい楽しかった。
ふたりは同じ大学に通っているみたいで、名前を聞けばこの辺りでは知らない者はいないだろう有名なところだった。わたしたちは無名も無名な女子大に通っていたので校名を口にするのが憚られるくらいだった。
爽くんは肩甲骨までありそうな長髪を束ねていて、衣服もモノトーンでストーンブレスレットなんて着けちゃって妙にアーティスティックな印象を受けた。いっぽうで権吉くんはしゅっとした体型と顔とは裏腹にバーガンディーのテーラードジャケットを着ていたりして派手だった。
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