急に、頭の中に流れ込んできた。

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急に、頭の中に流れ込んできた。

 春。僕と君は二人で出かけていた。目的地は君のお気に入りのあの場所。  「ここが、私の秘密基地。」 そう言って笑う君は、酷く儚く、いまにも散ってしまいそうに思えた。気付けば君を抱きしめていて、僕の腕の中で「苦しいよ」って君は笑ったんだ。  ある時は夏だった。暑い暑いと言いながら、君は外に出たがった。ことあるごとに、「アイスを買いに行こう」とか「家に居るばっかりじゃ体に悪いよ」とか、適当な理由を作ってさ。僕から言わせれば、あの暑い中外に出るほうが健康に悪いと思うんだけど。  秋には、君は風邪をひいちゃったね。熱を出して顔を真っ赤にしても「大丈夫」って強がって、風邪の時くらい頼ってくれてもいいのに。寝ている時の君の顔は面白かったな。冗談だよ、ちゃんと可愛かったって。君ってばさ、寝言でも僕のことを呼ぶんだから、びっくりしちゃって。ちょっと照れてたんだよ。  冬には。  冬には?  ざぁっ。頭の中にノイズが走る。  嗚呼、そうだ。君は、君は。  もう居ないんだった。 
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