昔がたり

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母、照子が産まれたのは……石川県能登半島の能登中島。 海が近く、釣りも泳ぎも出来た。周りは田んぼと畑、集落が集まってる所の一角。 茅葺き屋根の家の周りに杉の木が数本植えられていた。 昭和8年だったか…9年だったか。命日は覚えているのに、何故か誕生日が思い出せない。 照子は、父に大層可愛がられたそうだ。俗に甘やかされたと言っても過言ではない。 時折、昔話しを始める照子…… 「お父さんがねぇ……あっ!あんたにしたらおじいちゃんか、お母さん生まれた時喜んだんだってぇ」 (ああ、はいはい……耳タコだゎ) 「お母さんさぁ小さい頃病弱でね、おじいちゃんが食べたい物あるか?買ってくるぞって買ってきてくれるのよ~妹達にあげないでお母さんだけ食べてたなぁ」 子供心にこの話を聞かされて、おばちゃん達が可哀想だなと思わずにいられなかった。
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