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それから3日ほどたったころである。それは仕事中のちょっとした事件だった。
現場の外国人労働者が4、5人集まって言い争いをしている。
操はやり過ごそうとしたが、いきなり肩をつかまれた。ぎょっとして振り返る。手に熱い感触がよみがえって、また意識下に消えた。
「ミサオ、聞いてほしいです」
それは日本語学校に通っている南米からの労働者だった。
「なに……?」
操は戸惑いながら答える。
「このひと、ぼくのおカネ、盗った」
それは直截な言い方だった。彼は一人の若いアフリカ系の労働者を指さしている。
「おカネ? なぜ?」
あいまいに操はこたえる。こういう争いにはなるべくかかわりあいたくはなかったのだ。
指さされた若い男は、操にはわからない言葉で反論した。言葉はわからないが、言いたいことの雰囲気はつかめる。本気で怒っていることが分かった。
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