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「女子大生、若い子よ。私も1回電話出たけど、小生意気そうな。それが彼に対するクレームだって後から知って、質の悪いのに当たっちゃったなとおもったもの。私もさぁ、別のお客さんに届け物しなくちゃならない用事があって、行ったことあるの、そのマンション。すっごい高級マンション、新築の。あのあたりだと、家賃20~30万円くらいするでしょうね」 「ひえー」  美知が大声を上げる。 「それも独り暮らしだっていうんだから、まじめに働いてる人はばからしくなるわよね」  歌子が意気投合する。 「なんかね、その子の言うには、豊田くんが書留を持って部屋に来たときに、目つきとか態度が信じられないくらい悪かったって言うの。最後にドアもバン、と閉めたって」 「はぁ」 「あんまりしつこいから、本人と上司で謝罪に行きますって言ったんだけど、もういいです! っていって電話切ったのよ。ところが」 「もっと上の方に訴えたんですね」 「そうそう。あの配達員を首にしてくれって、しつこくて」 「たまらんわ」  美知がため息をつく。 「でしょ? いるのよねー、おかしな奴って」  
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