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 列車は、一つの駅に滑り込んだ。  降りると、無駄に長く広いホームが広がっているように思えた。くすんだコンクリートの汚れた感じが目についた。  決して栄えている街ではない。薄曇りのためにそう見えるというだけでもなさそうだ。  朝の時間帯はすぎているせいか、ここもさほど人はいない。自動改札を出ると、待合室があり、自動販売機が2台設置されていた。  操はそこのビニール皮のクッションの入った長椅子にいったん腰かけた。  駅員は、部屋にこもって、外のことなどにはお構いなしのように見える。  操は腰かけたまま、長方形の箱のような駅舎の中を観察した。  喉がひりついた。  自販機でペットボトルのお茶を買い、2,3口、一気に飲み干した。それから、手帳を取り出し、続きのページに、ボールペンで何かを書き込み、またぱたんと閉じ、持ってきた小型のバッグの中にしまった。  チェックインの時間まで、この荷物を置く場所はないだろうか。大きいリュックが邪魔だった。
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