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「な、話だけ聞かないか。せっかく持ってきたんだから」  洋一は今日は食い下がった。  操はそのことにかえって好奇心をそそられた。話だけでも聞いてみたくなった。疲れた体にしみ込んだビールのためもあったかもしれない。操は酒につよいほうではない。 「忘れられた話題を取り上げるんだよ。まあ、あんまり派手なもんじゃないし企画もありきたりだけど、でも価値はあるはずだ」  リハビリにはちょうどいい企画だと操は思った。もしかしたら、洋一は自分にやらせるために考え付いたのかもしれない。それはうぬぼれかもしれないが、洋一という人間を考えるとありそうに思えるのだった。 「公害とか環境汚染とかの方がお前向きかもしれないんだけど、ちょっと手垢がついてるんで止めた」  操が話に乗ってきた様子をみて、洋一は口が軽くなる。
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