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「男がいつまでも悲劇ぶってるんじゃないよ」
洋一は、操が仕事を辞めたあともこうしてしばしば誘いをかけてくれていた。それはありがたいことには違いなかった。が、応じるつもりはない。
「もう二度とあんな恐怖はごめんなんだよ。ぼくは弱虫だ。自分でも初めて分かったんだ」
「そりゃトラウマにはなるわな。いくら『地雷を踏んだらサヨウナラ』のつもりでいても」
そのフレーズは洋一のお気に入りだ。夭折したカメラマン一ノ瀬泰三の言葉。もはや洋一の中では自分のフレーズにもなっているふうだ。
「人にさ、殺意を向けられるのは想像以上にきついものなんだよ」
洋一は少し黙る。操も口を閉じた。
チャーハンが運ばれてきた。ここのチャーハンは作り置きを型で抜いただけのようなもので、すぐに出てくるのだ。ビールのジョッキも続いてきた。二人は改めて乾杯した。
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