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こうして彼の全体像を見上げると、思い浮かぶのは好きなところばかり。
砂羽くんの身長が好き、声が好き、元々甘めの柔らかい顔が笑うともっとタレ目になって格好良く見える時が好き、大きな手が好き、細くて長い足が好き。
けれどきっと、これから先もっと好きな人が出来るはず。本当は砂羽くんより好きだって思える人は居ないけれど、まだ高校2年生になったばかり。
きっといくらでも良い人に出会えるはずだから。
「はい?」
「だ、だから私今日からそ、その人に猛烈にアタックするつもりなんだよね」
「させるわけないじゃん。誰それ?俺の知ってる人?」
「お、教えるわけないよ!」
自分は好き放題するくせに、私がそういうと極端に顔を顰(しか)めて離した距離を詰めてくる。
その表情があまりに怖かったから、臆病な私は咄嗟に和美ちゃんの背中に隠れた。
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