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詰め寄られるに比例して、私は砂羽くんから顔を背ける。
知らない人達に声を掛けられた恐怖と、砂羽くんとの至近距離にドキドキと緊張している内心を悟られないように出来る限りの普通を装った。
「……そんな風に今にも泣きそうになってるのを我慢しながら?あわよくば変な奴らにお持ち帰りされそうになって?それでもここに遊びに来たって言えるの?」
「……っ」
「帰るよ」
返す言葉が見つからずに黙り込んだ私に容赦なくそう言って、再び腕を引いてあの出口へと向かって行く。
どんなに離してとお願いしても、砂羽くんは私の意志なんて微塵も受け取りませんと言いたげに無視を決めて真っ暗な外へと出てきてしまった。
少し前までの爆音はどこへやら、空いっぱいに光る星が見える夜空を見渡すとそこは私のいつもの日常だった。
砂羽くんが毎夜あんな所で楽しんでいる時、私の"いつも"はここにあった。
砂羽くんが居る世界は、私には到底理解できない。
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