01.別れるための決意

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今日はよくホームで声を掛けられる。 本日二度目のお客様は、私のことを"泣き虫ちゃん"などと言いながらヘラヘラと笑って軽快に歩み寄ってくる男の人だった。 制服に身を纏っているけれど、私の高校とは違うし……誰だろう。 後ろに3人程友達を連れている彼は、コソコソッと何かを言い置いてから改めて私の目の前にピョンッと飛ぶように立ち憚った。 「ねぇ!昨日どうなった!?俺あの後用事あって待っててあげらんなかったからさー。心配してたんだよ」 「え、え、え、あの、人違いしてませんか……その、私あなたのこと知らないですし」 「……マジか。やっぱ俺の変装すごいわ」 「ありがとうございました。失礼します」 「待って待って待って!ほら、俺だよ!昨日夜会ったじゃん!」 引っ掛けようとしている本人の目の前に立ってオレオレ詐欺をしてくるなんて最低且ついい度胸をしている。 砂羽くんと引けを取らないくらいの高身長に多少怯えながらも、上手く回避して駅員さんに通報してやるぞと企んだ時。
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