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それに加えて電車の扉はもう閉まる寸前。
携帯の画面と睨めっこしているオネーサンは友達3人から「楓!お前何やってんだよ早く乗れよ!」という声に気付いて慌ててソレに乗り込んでいった。
心配して声を掛けてくれて、また励ましてくれたって言うのにお礼すらまともに言えなかったことが心残りでしかない。
密着している砂羽くんの身体を突き放して閉め切られた扉まで駆け寄りながら「ごめんね」と言葉にすると、オネーサンはニッコリと笑って自身の携帯を私に見せた。
そこにははっきりと私のメッセージIDが載っていた。
「できてたんだ!よかったー!」
ホッと肩の力を抜くと、躊躇うことなく走りだす電車は私とオネーサンをあっという間に引き離す。
姿が見えなくなるまで手を振って、どうにかお別れらしい別れ方をした。
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