01.別れるための決意

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もう金輪際会わない覚悟を決めて、砂羽(さわ)くんの家の玄関から飛び逃げようとしたところ、あと1歩のところでそれを阻止される。 玄関の前に立ちはだかる彼は、まるで何のことだか分からないと言いたげに私より30センチ以上の高さから首を傾げた。 「ねぇなんで梨真ちゃんが怒ってんのか分かんないんだけど」 「本当に分からない?」 「1年記念日のプレゼントあげただけじゃん。そしたらいきなり怒ったのは梨真ちゃんでしょ?」 「……じゃあ教えてあげる。家に1人だからって言ってたのに、どうしてこんなに甘ったるい香水の匂いがするの?」 「それは、」 「いい!もう聞きたくないよ!」 人間には我慢の限界ってものがある。 今まで何度も見逃してきたけれど、それももうお終い。 ―――私はたった今から。 初めてできた彼氏と、別れる覚悟を決める。
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