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もう金輪際会わない覚悟を決めて、砂羽(さわ)くんの家の玄関から飛び逃げようとしたところ、あと1歩のところでそれを阻止される。
玄関の前に立ちはだかる彼は、まるで何のことだか分からないと言いたげに私より30センチ以上の高さから首を傾げた。
「ねぇなんで梨真ちゃんが怒ってんのか分かんないんだけど」
「本当に分からない?」
「1年記念日のプレゼントあげただけじゃん。そしたらいきなり怒ったのは梨真ちゃんでしょ?」
「……じゃあ教えてあげる。家に1人だからって言ってたのに、どうしてこんなに甘ったるい香水の匂いがするの?」
「それは、」
「いい!もう聞きたくないよ!」
人間には我慢の限界ってものがある。
今まで何度も見逃してきたけれど、それももうお終い。
―――私はたった今から。
初めてできた彼氏と、別れる覚悟を決める。
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