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◇
AM6:52。
手の平サイズの可愛らしい目覚まし時計は、その体格には見合わない程の大音量で私を完璧なまでに目覚めさせてくれる。
ここ数年ずっと変わらず同じチャンネルの朝番組を見ながら、のろのろとお母さんが作ってくれる朝ごはんを食べて、身支度を整えて、ほぼ同じ時間帯に家の玄関を開けて、そして同じ電車に乗って学校へ行く。
「梨真ー、おはよう」
「あ、和美ちゃんおはよー!」
毎日が変わり始めるのは学校へ着いてからのことが大半で、その小さな変化や出来事が新鮮で楽しくて、いつか私達がここを卒業する時にはきっと、そんな些細な事でさえ懐かしんでいくんだと思う。
今日もそんな1日を平和に過ごし終える……はずだったのに。
「ほー、アンタが砂羽の……ねぇ」
「……へ?」
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