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私はたまたま生きている。
本気でそう思う。
高木社長の娘だったら私にどんな幸せがあっただろう。ただそう思う。
私の子に安心安全なお米を食べさせたいなんて。
嬉しい。おじいちゃんの思うことだと思う。
怖い人にしか見えないが心の優しいまっすぐな人だ。
テレビで報道される虐待で亡くなった人達は、その日まで幸せに生きていたのではない。
信じてもらえない程の痛みと絶望の中にいて、その日たまたま亡くなったのだ。
幸せな家庭に育った人に想像するのは難しいと思う。
誰一人として家の中に味方がいない女の子の苦しみは、安心も安全も信頼も安らぎもない家庭がどんなものか。
私の親は自分で娘に電話する事も出来ない事をしたことがわかっているのだ。
だから、家に帰ったらずっと悪口を言っていた高木社長に、私の夫がお世話になっていることがわかって相談したんだ。
嫌い。
嫌いでしかない。
好きになれるはずが無い。
会いたいと思うはずがない。
結婚して家を出て初めてわかるなんて。
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