会いたくないの

「 その美味しいお米をご両親にも食べさせてあげようとは思わんのかね。」
「は？」
ものすごい剣幕で言った。
その事を言う為に来たのだ。

「この間ゴルフ場でお父さんに会ったよ。
お母さんがご飯を作るのが大変だから、娘に会いたいと涙を流していた。
この歳になると会いたい人は限られてくる。
私は彼とはライバルだったけど、私の前で涙を流すなんてよっぽどのことだと思ったよ。
なぜ会いに行かない？」

キラキラのシャンデリアが煌めき大勢の人が楽しんでいるパーティー会場は、
この話をするのにはこの世で最も遠い場所のような気がした。もっと静かでソファに横になり先生にするのだろうと思っていた。
こういう時はいつも突然やって来るのだと
しかしなぜ今日で、なぜ彼なんだと思った。

私が生まれた時から両親から虐待をされていた事を話さなければならない。

何から話そうか。
毎日殴られて蹴られた事？
ご飯もろくにもらえず腎臓病になった事？