新しい一年

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「あ、そう言えば、スケジュール管理の備考欄に、ランチ会議は可だが、食事をしない旨で相手に伝えて了承を取る、て書いてありましたけど、お体の具合でも?」 「ん?いや?」 「前はそんな事、書いてなかったですよね?」 「う……ん。一人で外に食べに行きたいからさ…。それでね?」 「あ!お店に来てたからですか?考えたら最初の頃は毎日きてましたよね?」 思い出したように水菜が言うと、しまった、と言う顔をする。 (分かりやすい……。) 「社長……お仕事は優先しませんと……。」 ため息をついて言うと、 「これからそうする……あ、ランチ会議ない時に水菜の弁当食べたい!」 と、真の反撃に会う。 「え?無理です!料亭とかの仕出し弁当を食べる方に、私のお弁当なんて出せません。」 わざと?と思うような肩の落とし方をする。 「俺…あんまり食事に興味ないんだよね。豪華とか高級とか、どうでもよくて…家庭の味っていうの?ああいうのに憧れてるんだよね………。」 上目遣いで水菜を見る。 「ちょ…無理です!私が緊張するから!私のお弁当なんて、前の日の残り物とか簡単な物で、冷凍チンとか……社長が食べるものじゃ……。」 「前、一度食べたじゃないか。」 「いや、でも…。」 困っていると、真は悪戯顔をする。 「こうしよう。今日、お弁当頂戴って言ったら、水菜のお弁当頂戴。それなら二つも作らなくていい。水菜の弁当を俺がもらい、水菜にはお弁当を俺が奢る。高橋に買いに行かせる。うん、いいアイデアだ。」 「高橋さんが忙しくなります!かわいそうですよ。」 「ダメ!もう決めた!」 ため息を吐き真の顔を見る。 「へんなとこで頑固ですね?分かりました。事前にお弁当が欲しい日を言ってください。その代わり高橋さんを使うのは無しだし、ランチ会議も普通に出席して下さいね。」 「本当に?」 「はい。期待はしないで下さいよ?中身…。」 「水菜の手作りなら何でもいい!」 「冷凍食品は手作りではないですけどね?」 くすくすと水菜が笑うのを、真も嬉しそうに見てお弁当を食べた。
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