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「体の調子は?病院は行ってる?」
食事をしながら、少し小さな声で真は聞いた。
本当は年末に聞きたい事だった。
「年明けに行って、今はお薬は止まってます。指が震える事もほとんどありませんし、先生にも少し明るくなった気がすると言われました。」
真面目な顔から笑顔になり、照れた様に水菜が言った。
「そうか!良かったな。でも忙しい時は無理しない様にな?」
「はい。ですけど、もうすぐ梨香が午前のみになりますし、副社長の午後秘書をどちらが引き受けるか考えないと……。」
水菜の言葉に真は停止した。
それを見て水菜は口を手で押さえた。
「もしかして、聞いてませんでした?」
オロオロしながら、梨香に怒られるという姿が可愛かったので、
「水菜に聞いたとは言わないし、しばらく知らない振りしてる。
どうせ向こうから報告にくるし。」
と、笑顔を向けた。
「すみません。」
「働く時間をさらに削るのは、悪い事ではないよな?それだけ聞いていいか?」
社長らしい顔で、心配していると分かるので素直に答えた。
「はい。他に移るとか、そういう事でもありません。ご安心を。」
「それならいい。一応、あれでも幼馴染なんだ。」
と言い、真は最後のおかずを口に放り込んだ。
「ごちそうさま。美味かった。」
「いいえ。最近、しゃ〜〜七瀬さんに野菜を食べさせようと、ネット見ちゃうんですよね。お魚のおかずとかも難しくて。お料理サイトはあるんです。
お弁当だけ見たいんですけど…飛びまくりです。」
水菜はお弁当を片付けながら話した。
「水菜………。」
「はい。」
「それ、いけんじゃねぇ?」
「はい?」
「お弁当専用サイト。お弁当の作り方、肉、魚、サラダ、項目分けて、毎日、メイン魚、サラダ、煮物、チョイスしたらお弁当楽じゃないか?
前に夕食のサイト作ったけど、メニュー考えるのが一番嫌だってアンケートで……。お弁当もそうじゃないか?」
「確かに…。たまにだと悩みませんけど、毎日は考えます。」
「悪い!先行く、ちょっと考えてみる。グルメサイトか料理サイトに話し振る方向で考える。」
真は足速にその場を去る。
ブツブツなにかを呟きながら…。
「ふふ……。ああいうとこは仕事馬鹿なのよね?
でも、尊敬出来るんだわ。いつもあれならかっこいいのにねぇ?」
くすくす笑い、水菜はそれを見送った。
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