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アパートまで送ってもらい、水菜は脱力して座り込んだ。
良く考えたら、告白…されたわけで…。
「えぇ!嘘でしょ?水掛けたんだよ? え?セフレいないのって……私の為?
発作が出ないように改装もしたの?別にそこまでしなくても……。」
呆然とした。
パタンと寝転んで考えた。
(そこまでして…秘書でいてくれたらいい、笑ってほしいって、秘書のままでいいの?社長に何の得もないじゃない。今日だって、私ばっかりお姫様気分で、美味しい物たくさん食べさせてもらって、カッコいい社長にエスコートされて…地味子だって……言ってたじゃない。何で?)
考えたところで人の気持ち程、難しい物はない。
「一人が…いいでしょ?楽でしょう?
社長だって、そうじゃなかった?画面の向こうに拡がる世界だけで、十分だったはずでしょ?」
未だに水菜は一人が良かった。
(だって楽。言葉の暴力は永遠に耳に残る。
それが好きだった相手なら尚の事怖い。
そんな事を考えて、一緒にいたかと思うと怖い。)
水菜にとって、「彼氏は絶対的味方」。
子供っぽい考えかもしれないがそう思っていた。
それは違うと見せつけられたのだ。
言葉という、暴力によって。
震える身体抱きしめた。
ーー「寒いから震えているんだよ?」
「ふっ……。ふふふ…そんな訳、ないのに……。」
七瀬の言葉を思い出し、涙は出たが、口元から笑い声も出た。
震えはいつの間に止まっていた。
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