共同開発の終わり

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社長室に梨香と副社長がいた。 水菜も高橋も同席を求められた。 「実は、赤ちゃんが出来まして……今まで15時だったのを、午前中終了にして頂く事は出来ますか?それと産休も欲しいのですが…。」 あんぐりした顔で真は間を開けて言う。 「おめでとう。良いですか?って駄目だと言ってもそうするんだろ?他の女子社員も産休取りやすくなるし、時短で働きやすい、前もそう言ったしな…。」 呆れた声で真は言うが、辞める、ではない事に安心していた。 「お腹の子が8ヶ月に入ったら産休に入ります。午前復帰を生まれた子が6ヶ月になったら開始して、1歳になったら時短でお願いします。」 梨香が言うと、笑いながら真が言う。 「それさぁ、俺の了承いる?もう決定事項だろ?」 「話が早くて助かります。」 と、梨香は笑う。 「もう一つ提案があります。」 「何?」 「働く母、共働き夫婦、シングルの腕のいいSEは埋もれていると思うのです。これを機会に小会議室のひとつを保育所にしませんか?」 「それさぁ…俺も考えたんだけど、連れてくるのも可、でも俺たちの仕事、SEなら尚の事、場所はどこでもいいわけだろ?送ればいいし、子供がいる人は家で仕事も認めようと思うんだけど、どう?」 「秘書は無理だよ?同行するのが仕事だもの。」 「考えが古いなぁ…。どうしても同行が必要な時だけすればいいだろ?スケジュール管理はパソコンで出来るし、朝の確認はテレビ電話でも繋げばいい。ビデオ通話でもカメラつければ済む話だ。いずれは会社の全部のパソコンに付ける。今までその考えが出なかったのが不思議だ。まぁ、必要ないだけだけどな…育休も産休もいなかったし。それで会議も出来るしどうしても出てこないとダメな時はくればいい。まずは梨香が最初のモニターだな。それなら産休も少なくていい。」 「いいの?本当に?」 「何で疑われるかな……。」 肘を突いて、真は侮辱だという目を梨香に向けた。 「真が人の事考えるなんて、信じられない。」 梨香が呆然としながら幸人を見た。 「モニターでも何でも協力するよ。な?梨香。真、ありがとう。梨香、仕事は辞めたくないってずっと言ってて、それで今まで言えなかったんだ。」 「他にも産休取りそうなのいたら教えてくれ。モニターに参加させる。」 「分かった。でもうちは男性が多いからね。」 「男でもいいよ?希望者を数人募りたい。梨香に任せる。」 「分かった。」 梨香は本当に嬉しそうだ。 「それで、どちらが副社長に着けばいいでしょうか?暫くはいいとして、最低でも産休は何ヶ月か取りますよね?」 水菜が聞くと梨香が答える。 「3ヶ月は休みたい。夜も寝れないみたいだし、出勤なしでもきついと思うから……。」 「じゃあ、私が8:2位で副社長につくということでいいですか?」 「!…何で水菜が?」 不機嫌な顔で真が聞いた。 「高橋さんはSEとしてフォローにも入れますし、いざ入ったとして、6:4くらいで秘書の仕事と両立できると思います。副社長の方は社長程複雑ではないと聞いておりますので、手が空いた分を高橋さんのフォローに回ります。それでバランスはいいかと…。」 「そうだね。梨香が休みの間、よろしく、石原さん。」 副社長が言い握手する。 ぶつぶつ言っている真を無視して、その場で話は決まった。 梨香も高橋も同意した。
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