嫌な奴ほど覚えてる

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ドアを開けるとすぐに梨香がいた。 安心して笑顔が出る。 「いらっしゃい。エタエモにようこそ。」 笑顔で梨香も水菜を迎えた。 「私たちが知り合いとは話してないから。口利きとか嫌でしょ?」 「はい、その方がいいです。」 歩きながら小さくお互いに会話した。 大きなロビーの様な部屋があり、その横の廊下で椅子を置かれて数人が座っていた。 「ここでお待ち下さい。順番にご案内しますので。」 事務的に言い、梨香はロビーの様な部屋に進み、その奥にある階段を登る。 階段の奥にも部屋、下にも部屋があるが壁みたいに茶色くなっていた。 ロビーに机もたくさん置いてあるが一人の机が大きい。 背の低い壁もあり、個人スペースになっていた。 (すご!ふつうの会社より自由な感じ?) キョロキョロと辺りを見た。 その時、階段下の茶色い壁が開いて、そこがドアだと気付いた。 上に登った梨香が下から出て来た。 男性も一緒に出て来て、梨香の声が聴こえる。 「明日中に連絡がない場合は不合格です。こちらから一切の連絡は致しませんので、ご了承下さい。本日はお疲れ様でした。」 男性が頭を下げて、廊下に座る私達の前を通って行った。 (あの部屋なんだ…。) 次の人が呼ばれて中に入って行く。 20分後、出て来た梨香が呼んだ。 「石原さん、どうぞ。」 カチコチに歩いて部屋に入った。 誰もいなくて目が点になる。 「少し、こちらでお待ちを。」 そう言うと梨香は部屋の中、奥の方にある階段を登って行く。 (ああ…中にも階段があるのか…。ちょっと、造りが凝ってない?) 驚きながらそれを見ていた。 「如何でしょう?最後の人になります。」 梨香が話す先には、テーブルを置いて座る男性二人。 目の前にノーパソ。 そのパソコンには、小さくではあるが下の映像が映し出されていた。
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