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社長室の隣にある幸人の部屋で、幸人は梨香に二人の事を説明された。
「私もさっき初めて聞いたの。彼女とは半年くらい前からの知り合い。
何度か食事したり、お友達かな?それでここの面接の話をしたの。
情報処理の学校の話は聞いていたし、プログラミングは私だって出来ないわ。」
「うん、そこはいいと思うけど、真の態度が妙でさ。それが少し心配かな?
あいつが仕事を円滑にしてくれないと、何だかんだ言ってもうちは困るんだよ。」
幸人が言うと梨香も同意した。
「幸人、最近、真ね?一人で飲み屋に通っていた様なの。」
「真が一人で?」
「そう…。酔ってそのまま寝ちゃっている事が多いから、女の子達に聞いてみたの。飲みに誘われているかって。そしたらどうも一人で行ってるらしくて、水菜さんの話と合致しない?」
「でも石原さんは絡まれたんだろ?絡んだ相手に会いに行くか?
罰が悪いだろ?」
「採用するって言ったんでしょ?謝りたいのかしら?素直じゃないから。」
「あいつが?ちょっと謝るとことか想像出来ないな。まぁ、でもそうだと言うなら採用で構わないけど…問題は彼女が続くかだね。」
「しっかりしているし、見る限りは淡々と仕事をこなすタイプだから、大丈夫かと思うのだけど…。」
「まぁ、真相手に出来る人はそういないしお手並み拝見しますか。
梨香も採用で良いんだよね?」
「勿論、女子!ていう感じがしないの。お互い気も合うし、私は嬉しいわ。」
「じゃあ、採用連絡はよろしく。いつから来れるのかな?」
「聞いてみるけど、来週からが丁度良くない?」
「そう、だな。じゃあ、それでよろしく。」
「承りました。」
幸人の部屋の階段を梨香は降りていく。
二階並ぶ二部屋は間にドアはなく、自分の部屋を出て相手の部屋に行かないといけないが、一階は秘書室兼、社長室への待つ間の部屋になっていて隣同士、部屋はドアで行き来が出来る。
下へ降りて、ドアを開け、隣の部屋から階段を上がる。
「失礼します。石原 水菜さんに、採用の通知を致しますが、最終確認です。
よろしいでしょうか?」
「ああ、よろしく頼む。」
「はい、出社は来週からと致します。
しばらくは私がサポートに入りますので、よろしくお願いします。」
「分かった。」
「社長?ていうか、真。」
「何だよ?」
「彼女に決めた理由は?」
「一番、根性がありそうだったから。」
素っ気なく真は明後日の方向を見て答えた。
「ふ〜ん。飲み屋!」
「は?」
身体がビクリと動いた。
「嘘が下手ね?子供のまま大きくなったみたい。気に入ったんじゃないの?
飲み屋で水を掛けられた時に。」
「そ、そんなわけであるか!それ、俺がマゾみたいじゃねぇか!」
(明らかに動揺しているじゃないの…。)
ふぅ…とため息を吐いてから、
「まぁいいけど。言わなかったけど、友達なの。社員には内緒ね。
虐めないでよ?では、失礼します。」
と言い、最後は秘書らしく、お辞儀をして梨香は部屋から出て行った。
「水菜……石原 水菜。23歳。水菜…か。」
にやにやした顔をしている事に気付いて顔を叩いた。
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