攻防戦突入

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終業後、アプリ開発のおかげか、今日は呼び出しも少なめで残業なしで帰れる。 水菜はるんるん気分で部屋を出た。 真はそれを上で見ていた。 「何だよ、ご機嫌。デートかぁ?地味子がデート。笑える。」 言いながらも不機嫌。 ノックがしたと同時にドアが開く。 「真?飯行かない?」 幸人が誘いに来た。 「行かない…。」 「また…。仕事入ると夢中になり過ぎんだよ。身体壊すぞ?昼は?」 「食べた。」 「おお。それは珍しい。外か?」 「水菜にコンビニ走らせた。おにぎりかサンドイッチ買って来いって。」 「………。」 その発言に幸人は無言になる。 「なんだよ?」 「石原さんは従業員で秘書、お前の奴隷じゃないの。分かってる? 昼の休憩時間は守られるべきだ。」 「休憩時間の前だ。問題ない。」 「随分、派手に使ってるって聞いてるよ?二週間、良く持ってる。 まぁ、アプリ開発をしてるお前に言っても無駄だからいいけど、終わったらもう少し彼女への対応考えた方がいい。 彼女が使えないなら、一度俺が預かって、それでも使えないならクビにするよ。とりあえずアプリに集中してくれよ。じゃあな。」 クビにするよ、と言われて青くなる。 「ちょ…。」 ちょっと待てと言おうとしてドアを閉められた。 仕事はきちんとやってくれている。 俺が余計に増やしているだけ……。 構って欲しい子供みたいに、呼べば来るから顔が見れるから、ただそれだけ。 文句も言わない彼女に一人でイライラしてるだけ…。 分かってるけど言葉が出ない。 「……あの時は、ごめん。水だし、クリーニング代は返す。 本当に寂しい女とか…思ったわけじゃない……。」 椅子に反り返って、天井を見て呟いた。 「いない時なら言えるのになぁ…。」
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