6775人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
終業後、アプリ開発のおかげか、今日は呼び出しも少なめで残業なしで帰れる。
水菜はるんるん気分で部屋を出た。
真はそれを上で見ていた。
「何だよ、ご機嫌。デートかぁ?地味子がデート。笑える。」
言いながらも不機嫌。
ノックがしたと同時にドアが開く。
「真?飯行かない?」
幸人が誘いに来た。
「行かない…。」
「また…。仕事入ると夢中になり過ぎんだよ。身体壊すぞ?昼は?」
「食べた。」
「おお。それは珍しい。外か?」
「水菜にコンビニ走らせた。おにぎりかサンドイッチ買って来いって。」
「………。」
その発言に幸人は無言になる。
「なんだよ?」
「石原さんは従業員で秘書、お前の奴隷じゃないの。分かってる?
昼の休憩時間は守られるべきだ。」
「休憩時間の前だ。問題ない。」
「随分、派手に使ってるって聞いてるよ?二週間、良く持ってる。
まぁ、アプリ開発をしてるお前に言っても無駄だからいいけど、終わったらもう少し彼女への対応考えた方がいい。
彼女が使えないなら、一度俺が預かって、それでも使えないならクビにするよ。とりあえずアプリに集中してくれよ。じゃあな。」
クビにするよ、と言われて青くなる。
「ちょ…。」
ちょっと待てと言おうとしてドアを閉められた。
仕事はきちんとやってくれている。
俺が余計に増やしているだけ……。
構って欲しい子供みたいに、呼べば来るから顔が見れるから、ただそれだけ。
文句も言わない彼女に一人でイライラしてるだけ…。
分かってるけど言葉が出ない。
「……あの時は、ごめん。水だし、クリーニング代は返す。
本当に寂しい女とか…思ったわけじゃない……。」
椅子に反り返って、天井を見て呟いた。
「いない時なら言えるのになぁ…。」
最初のコメントを投稿しよう!