男でしょ!

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翌日、午前10時。 水菜はエターナルエモーションの受付に話しかけた。 「すみません、今川さんと10時にお約束が。」 「お待ち下さい。」 ジーンズに白のワイシャツ、黒のパーカーを着た水菜は明らかに秘書スタイルではなかった。 すぐに梨香が出て来て、水菜を歓迎した。 「ごめんね?わざわざ。」 「ううん、こちらこそ迷惑を掛けて。」 秘書の部屋に通される。 「2日しか経ってないのになんだか懐かしいね。」 秘書の椅子を出して梨香は座ってと言い、自分も机の外側に椅子を置き座った。 「仕事、探してる?」 「うん。親にね、仕事上手く行ってないなら帰って来いって言われてるの。 だから急いで探してる。」 「帰ったら仕事あるの?」 「ううん、見合いかな?地元の市役所の人。母方の祖父の近所でね、前からそういうお話があったの。」 「いや、なんだ?」 「うーん、学生の頃会ったきりだし、ただもう、男はみんな同じに見える。 あ、好意を持たれた場合だけね?」 「男性不信?何があったの?」 梨香に聞かれて少し躊躇い、二人の彼の話をした。 「それはショックだね…。幸人の現場を見たら、私もちょっと……。」 青い顔で梨香が言う。 「現場より多分その後がね?誤解だって言いながら近づいて来るの。 どう見ても誤解には見えない。全裸で布団、巻きながら、誤解だ! その前にも彼に色々言われてたから、余計にね。 そんな言葉で誤魔化せると思われているんだって思って…。 社長がね、最初の日に言ったの。 誤解だ…。別に社長は恋人でもないし弁解はいらないんだけど、あの言葉は怖くなるの。」 「社長のセフレ予定を組むのは辛いよね。」 「恋人って訳じゃないし仕事なら割り切るけど、七瀬さんとは合わないみたいだし、彼も仕事しにくいと思うから。」 そこでドアがノックされた。 七瀬 真が部屋に入って来た。 「申し訳ない!あの、えっと……首を言った事、いちいち仕事を増やした事、セフレ……頼んだ事、それと、飲み屋で絡んだ事。 全部俺が悪い。改善する。戻って来てくれないか?」 部屋に入ると同時の頭下げに水菜は驚いた。 「……いや…でもぉ……。」 (いつまたセフレを見るのか、この最低男と仕事できる?) 悩んだ。 「頼む!優秀だし、俺にはっきり言えるし、もう二度と嫌な思いはさせないように注意する。お願いします。」 (ど、土下座……社長が、) 「やめて下さい。頭を上げて立って下さい。 どうしてそこまでするんですか?他にも良い秘書はいるでしょう?」 水菜は真の腕を取り立ち上がらせた。 「どうしても君がいい。お願いします。戻って下さい。」 社長にそこまで言われて、パニックになりながら梨香を見た。 梨香もお願いと口が動いていたので、社長をもう一度見た。 ため息を吐いてから口を開いた。 「明日から、またお世話になります。 セフレはご自分で連絡されて下さい。」 「ありがとう!」 突然抱きしめられ、驚いてる間に離れて手を掴まれた。 「ありがとう。よろしくな?」 子供みたいな人だなぁと思った。
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