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石原 水菜が戻るにあたり約束させた事。
コーヒーは頼んだら持って来てほしい。
言いたい事は言ってくれていいから、笑ってもらいたい。
この条件に水菜は意味不明、理解不能を見せたが、それくらいでいいならと納得してから、
「面白くなければ笑えないと思いますよ?」
と付け加えた。
「面白かったら笑ってくれればいい。」
と、真は答えた。
真は時々、打ち合わせや話し会いの途中でキレる事があった。
頭の固い取引先には特にだ。
そんな時に幸人が水菜を同席させた。
水菜が隣に座っていると真の言葉が柔らかくなり、話合いもスムーズに進んだ。
社員が話をする時も、
「んな、アプリ、どう売りだすんだよ!なぁ?考えるだけなら誰でも出来んだよ!作って売れないなら意味ないだろう!」
と、怒鳴られることもある。
そこに水菜が登場すると七瀬社長は半分以下のおとなしさになる。
という話になり、何故か半年経った今、「エターナルの最終兵器」と呼ばれる様になってしまった。
これは水菜の知らないところで囁かれていた。
「ピーピー」
「はい。」
『コーヒー頼む。今日はブラック砂糖入り。甘いのが飲みたい。』
「はい、すぐにお持ち致します」
(コーヒー砂糖のみ、で良くない?)
と、考えながらくすりと笑う。
通信が途中で切られる事はない。
これは助かる。
コーヒーを届けると、今日はもう帰っていいと言われる。
「…宜しいのでしょうか?」
「もう、俺の仕事のみだから。のめり込みたいし集中したいから。」
「畏まりました。では、立花さんに用事を聞いてから、なければ退社させて頂きます。」
「うん、お疲れ様。」
立花に話をして許可をもらい退社する。
水菜は知っている。
アイデアに詰まった七瀬が、自分を帰した後でセフレを呼んでいる事。
気を使ってもらえるのは有難い。
それでも最低男返上はやはり出来ない。
(七瀬社長も、やりづらいと思うのよね…。)
新しい仕事を探した方がいいか考えていた。
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