6776人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
「おい!お〜い、水菜!」
目が覚めると机に腰掛けて、椅子に座ったまま机に顔を置いて眠る水菜を真が呼んでいた。
起き上がり謝る。
「すみません。休憩のつもりが眠ってしまいました。」
「いいよ。疲れたんだろ?準備も大変そうだったし?後片付けは社員がしてるし帰っていいよ。」
「ではお言葉に甘えて、そうさせて頂きます。」
「なんか、顔色悪くないか?」
と、真は水菜の顔を覗いた。
「平気です。それではお先に失礼致します。」
部屋から出ようとして副社長がドアを開けて、お互いにぶつかりそうになる。
「わ、ごめんなさい。」
「いや、こっちもノック忘れたから…。帰るの?お疲れ様。」
「お疲れ様でした。失礼します。」
「チッ!幸せなアクシデントするなよ?既婚者が!」
不機嫌な顔で机に座ったまま、真が幸人を見た。
「おいおい。石原さん戻って半年だぞ?セフレも相変わらずだし、気持ちはちゃんと整理できたのか?」
幸人に聞かれて真は悩む。
「うーん。どうもな、好きとか分かりにくいよな?そういうメーターで知らせるアプリとかあると便利じゃないか?」
「開発してくれて構わないけどさ…。好きの基本は独占欲だと思うよ?他の誰が誰といても、可愛い笑顔を向けていても構わないし気にならない。
けど、俺の場合、梨香が他の男に笑顔を向けてるといい気分はしない。
二人でご飯行くなんて言うものなら着いていきたいね。
それが大事な人って事じゃない?
そういうのがないならいつか手放す覚悟をしてくれよ?」
「は?手放す?幸人だっていい人材だと言ってただろ?」
少し動揺したように幸人には見えた。
「いい人材だよ?だからこそ彼女には職場を選ぶ権利がある。
ベターの人に聞いたんだけど、岩永さんが石原さんを引き抜きたがってるそうだ。大分、個人的感情が入ってるみたいだけどね。
今のところ断っているみたいだ。」
「個人的感情?」
「分かんないか?岩永さんは石原さんを気に入っている、好きなのかな?
共同も一応は区切りが付いたし、石原さんは断っているし接点はないと思うけどね。一応、報告な?じゃあお先に。」
「好きとか分かんねぇー。マジでアプリ開発しよう。
ラブメーター、いけるかもしれない。」
真はすぐ上に上がり、寝ずにパソコンに向き合っていた。
最初のコメントを投稿しよう!