ジャイブのバック

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10時、受付から電話が入る。 「はい、エターナルエモーション、秘書室です。」 『1階受付です。約束はないそうですが、社長にお会いしたいと女性がお見えです。 ジャイブバックを貰う約束をしていたと言うのですが…。 勢いが凄くて、そちらに回してもいいでしょうか?』 「少しお待ち下さい。」 電話を社長室で取れるようにして、階段を上って、悪いと思いながら社長の個人スペースに入った。 「社長!社長!」 揺り起こすと少し目を開けた。 「ジャイブのバックを受け取りに来たと女性が下の受付に来ているそうです。 凄い勢いだと言っていますが…。」 「あ?……ああ、分かった。通して。真っ直ぐここに……。」 「お名前の確認はいいですか?」 「うん…ジャイブのバックで分かる。新作がどうこう言ってた……。」 凄い眠そうに横になったまま答える。 まだ半分以上寝ているなぁと思うが、取り敢えず通すことにした。 社長が寝ぼけていると分かれば女性も帰るだろうと思ったからだ。 下で騒がれるのは良くない。 社長室の電話を取る。 「すみません、お通しして下さい。」 「分かりました。」 電話を切り、寝室の扉を大きく開いて、急いで下に行く。 パソコンでジャイブのバックを検索する。 間も無く女性は堂々と入って来て、無言で少し水菜を見て上に上がる。 「やだぁ、寝てるの?ねぇ、誕生日プレゼントは?」 「ああ、なんだっけ?」 「ジャイブのバック!」 大きな女性の声が聞こえる。 スマホでラインを送る。 『ジャイブの新作、2ヶ月前に出たモデルをすぐに買って来ます。』 『そこまでしなくても…。』 『渡さないと帰らないようにお見受けしますが?いつまでも眠れませんよ?』 『お願いします。』 ITの社長だけあって、寝ぼけてながらも返信は素早い。 感心して部屋を出た。 ジャイブはアメリカの話題の新ブランド。 このタワービルの、裏側の道路に面してブランド店があるので助かった。 急いで経費で落としてバッグを持ち帰った。
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