ジャイブのバック

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9時、息を吸い階段を上がる。 机の1メートル前に立つ。 「おはようございます。今日のスケジュール確認を致します。」 「あ……はい。」 (何だかいつもより小さく見えるのは、昨日の所為かな?) と考えて、息を吸う。 「……以上ですが、朝から取引先になりますから、すぐに着替えて下さいね。副社長がお迎えに参ります。」 「はい。あのさ、これ…。」 真は封筒を机の前に出し水菜の方に置いた。 「何でしょうか?」 「領収書の…お金。あれは私用な買い物だから。大変、申し訳なかった。」 頭を下げてくれるので封筒を手にした。 中を見て確認する。 「社長……多いですが…。お返し…」 「返さないで?受け取って。急いで行ってくれたんだろ?本当に申し訳なかった。実は記憶が曖昧で…。起きてからメールも確認して思い出したくらいで…申し訳ありませんでした。」 机にゴツンと音がして、水菜はくすりと笑った。 「頭、痛いですよ?じゃあ、遠慮なく頂きます。」 水菜が笑った顔を見て真は頬を赤らめて嬉しそうに笑う。 「では、後で朝のコーヒーをお持ちいたします。失礼します。」 と言い、降りていく水菜を真は見送る。 「笑った……。最近は笑顔も増えてたけど、二人だけの時に笑ってくれた。」 喜んで部屋を走ってしまった。 スーツに着替えた真を見て、 「はい、大丈夫です。素敵ですよ?」 と水菜が言うと、見えないところで真はガッツポーズする。 本当はあまり記憶のない昨日のことを聞きたいが、怖くて聞けない。 やってるとこ見ました…とか言われたら、軽蔑の目を向けられる。 最近はそれもなかったからあの目はきつい。 コンコン 「用意出来たか?そろそろ出るぞ?」 幸人が迎えに来て、スーツ姿を見る。 「まともに見える。いつもそうしてほしいね?」 「首が締まるわ!」 笑って返して振り返り水菜を見る。 「昼には戻るから、何かあればメールして。」 「はい。」 「たまにはお昼、どうかな?」 「私はお弁当ですから、ロビーで頂きますので…。」 「じゃ、じゃあ、俺がそのお弁当食べるから、お昼奢らせて? 今日行く近くに料亭あるし、テイクアウトで…。」 「では、私は好きな物を買ってロビーにいますので、手ぶらで来て下さい。 その方が気が楽ですから。大めに頂いてしまいましたし…。それでいいならお弁当を差し上げます。」 「うん!いい!じゃあ、昼にロビーで。」 「行ってらっしゃいませ。」 お辞儀をして二人を見送った。 その間に部屋を片付け、梨香に引き継ぎをする。 「かなり忙しいね?久々できつい…。」 「ごめんね?梨香さんを楽にさせるために入ったのに…。」 「ううん。中々、決まらなかったの。ああいう駄目な男だからさ。次は男限定にするつもり。」 胃がキリキリと痛んだ。 「また、会おうね?」 梨香が寂しそうに言う。 「私、上京して梨香さんが初めての友達。大好きです。絶対、会いましょうね。」 「うん!嬉しい! 指切りをした。
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