ジャイブのバック

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昼になり、ロビーで社長を待った。 「いた!こんな隅?」 「社長が目立つと困ると思いまして…。他の会社の方の目もありますし? 座って下さい。本当に私のお弁当で良いのですか?豪華な物はないですよ?」 お弁当を渡して言った。 「いいのいいの。一度食べてみたかったからさ。」 「それ、怖いもの見たさな感じですか?」 くすりと水菜は笑う。 それを見て真は嬉しそうに笑い、言う。 「違うよ?このお弁当は世界で一つでしょ?」 「誰かに作ってもらえばいいじゃないですか?」 コンビニで買って来たおにぎりを出し、水菜は食べる準備をする。 「え?それだけ?鰻でも寿司でも出前取ればいいのに…おごりだよ? 社長だよ!」 「自分で言いますかねぇ?それに奢りはなしでの約束ですよ?」 と言い、また水菜は笑う。 「凄いな…今日はサービス期間か?」 「何の話ですか?」 と聞いてからおにぎりを口に入れる。 「良く笑う。」 「え?笑いますよ。人間ですから…。仕事中は笑いませんけど。 今は休憩中です。社長がおかしいことを言えば笑いますよ?」 「そうか…。じゃあ明日もお弁当、一緒に食べようか?」 「明日は社長はランチ会議です。」 「ああ、残念。あ、じゃあ、今は休憩中だから社長はやめよう。 名前で呼ぶ!」 水菜のお弁当を食べて、美味いを連呼しながら真は言った。 「七瀬さん。」 「下で呼んでよ?」 「嫌です。誰かに聞かれて社長を名前で呼んでるって言われたくないので…。」 少し水菜が不機嫌そうになったので、真もそれ以上言う事は出来なかった。 「ご馳走さまでした。本当に美味しかった。」 「田舎料理ですよ?習ってもいないし、適当です。」 「いや、本当に美味しかった!」 「いつも適当に食べてたり、美味しい物をたくさん食べている、社…七瀬さんに言われると微妙な気分になりますね?」 名前を言い直してくすくすと笑う。 「また、食べさせてもらえる?」 「チャンスがあれば………。じゃあ、戻ります。仕事に集中して下さい。」 席を立ちエレベーターホールに向かった。
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