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朝早くから仕事を開始して、ひと段落した頃に大きな男が来る。
「おはようございます!今日から、また…お願いします。」
90度のお辞儀に少し真は笑う。
「いいよ、堅いよ。スケジュール早く言って?」
一旦、止めた手を再び動かしながら聞いた。
「……今日はほぼシステムに集中して頂きたいと…。」
「うん、立花に任せる。ここに籠る。」
「はい、それで今川さんから引き継ぎで、お昼ご飯と同時の仕事を引き受けない様言われましたが、来週、ベターさんからランチで話ができないかと昨日連絡がありまして…どう致しましょうか?」
「相手は食べててもいいよ?俺はコーヒーだけでいいなら構わない。
返事はそうして?」
「分かりました。あ、それと地下の駐車場に自転車が置いてあるそうですが、社長の物か確認して欲しいと。」
「あ、そうだ。それ俺の。警備さんに話してくれる?あ、あと、頑丈なチェーンとか買ってきてくんないかな?
気に入って買ったんだ。薄いブルーで、綺麗な色なんだよ。」
高橋はキョトンとして返事をした。
ここに来て、コーヒーカップを投げられる。
違う、違うと連呼され、普通に会話出来たのは始めてだったからだ。
12時と同時にキーを押す。
「昼飯行ってくる。高橋も昼にして。じゃ。」
『あ、はい…』
ブツッ……。
二階のドアがバンと開く音がして社長が飛び出して行くのをみんなが見る。
珍しい光景に職場が少しざわざわしていた。
真は地下駐車場のスペースに停めたママチャリをご機嫌で走らせた。
駐車場出口の坂が少しきつい。
それでも早く行きたい気持ちが勝っていた。
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