エタエモ復帰

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バイト先にも現れて、意味不明さに腹も立てた。 話がしたいからと夕食に誘われた。 梨香も一緒ならと約束をして、全て話せば諦めてくれるだろうと、夕食会の様になった中華料理店で、家族にも言っていない、梨香にしか話していない事を話した。 話す気になれたのは、多分、七瀬さんが言った一言。 ーー「何で心が弱い事になるの?見たら嫌だよ。普通だよ。」 あの言葉が私の気持ちを少し軽くしてくれて、最低男だと思っていた社長を人の痛みのわかる人だと、思えた事もあったと思う。 話すまでは正直、何度も辞めようかと悩んだ。 女性に話すのと男性に話すのでは違うし、ただ納得してもらえたらもう二度と会わないだろうという気持ちもあって、それを考えると気は楽になった。 全てを話すとスッキリしたし、自分に向けられた好意を怖いと思っても良いのだと思えた。 今までは人の好意が怖いなんて、失礼だと…自分を責めていたから。 改めてエターナルエモーションに誘われた。 3週間、悩んだし、考えて不安になったり、条件は素敵だと思ったり、気持ちは毎日揺れ動いた。 バイト先に来る社長は随分明るい顔で、仕事の時は気難しい顔ばかり見ていたから、なんだか意外で子供の様な所があり、気を張って注意していてもいつのまにか良い様に笑わされていて、正直、戸惑っていた。 上司が認めてくれていて、職場も近くて条件はいい。 再就職させてくれる会社なんてそうはない。 嫌な思い出の部屋は改装中だと聞いた。 本当かどうかは分からないが、社長もセフレはもういないと言った。 秘書の三人体制も時短の梨香を思えば有難い。 これ以上、いい条件の会社などないだろう。 考えに考えてその好意に甘える事にした。 エターナルエモーション、約二ヶ月振りの出勤をした。
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