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引っ越し
6月後半、高橋が立花副社長の外周りに付いて行くようになり、どうしても急ぎのシステムの仕事の時だけ高橋はフォローに回る。
その間水菜は必要に応じて立花に同席もするし、社長の管理もしっかり行なっていた。
忙しい中の嬉しい報せ。
梨香が赤ちゃんを無事に産んだというものだった。
「社長!ライン来ました?」
階段を急いで上がってすぐに話しかけた。
話し掛けてから後悔して後退りする。
新しいゲーム開発は終盤に来てまたも足踏み状態。
このところ社長はほとんどの時間を開発に割いていた。
(耳には聞こえてないだろうし、邪魔になる。)
そっと階段を降りようとした。
「ライン、来てた。女の子だって。幸人、営業から直で病院行ったみたいだ。
スマホは梨香のだけど、文面は幸人だった。」
画面を見たまま、真が話す。
話しかけた事に反応する事が珍しい。
「そう…ですか。失礼しました。」
小さな声で言い、階段を下りようとした。
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