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攻防戦突入
入社して一週間が経過した。
スケジュール管理もメール処理も慣れた。
相手への差し障りのない返信にも慣れて、仕事にかかる時間も短縮されて来た。
「えっと…取引先だから、挨拶メール、こっちは仕事受けてる中だから、社長回し…。」
慣れて来たからこそ、ミスがない様に何重にも確認する。
「ピーピー」
「はい!」
『俺の机の上にないんだけど?』
「何が…」
ブツッ……。
ふぅ…とため息を吐いてから階段を上がる。
社長は今、新しいアプリ開発を依頼されていて、昨日からそれを考えている所だ。
パソコンは見てるだけで急に立ったり歩いたり、パソコン触ってみたり、なんか書いたりきちんと考えが纏まるまでは、こう、らしい。
「ご用件は?」
遠慮気味に聞く。
「ここにあったボールペン知らない?」
(合理的は何処行った?)
突っ込みを心で入れて部屋を少し探す。
社長は椅子に座ったままそれを見ている。
(探せ!大事なら自分で!)
頭の横に怒りマークが出ていると自分でも思う。
「なぁ?」
「はい?」
「スカート履かないの?」
「特に考えてませんが?」
「ピンクとか似合うんじゃない?」
「落ち着いた物が好きなので……。あ、ありました。こちらでよろしいでしょうか。」
ボールペンを拾い、机の上に載せた。
社長は手を出していたが触りたくない。
ムッとした顔をして、
「もういいよ。」
と言うので、お辞儀して下に戻った。
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