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何処が好き?
10分程して、馬鹿真面目に頭を冷やしてから、真は隣の副社長室のドアを開けた。
「来た来た…。」
楽しそうに梨香が近付き、同時に壁ドンされる。
「ねぇ?水菜の何処が好き?」
「は?」
笑顔だった顔が怖くなる。
小さい頃から知り合い、幼馴染、梨香は真の中では男友だち、もしくはお姉さん的存在。
「何処って……分からん!」
「分からんて…威張って言うな!」
壁から手を離して、梨香は向きを変え幸人が座るソファの横に座った。
「まぁ、座って?」
幸人に言われて、二人の前のソファに座る。
「真は、今まで本気で付き合った彼女いないよね?向こうから告られて、まぁいいかなくらいで…だからすぐ別れる。それに比べたら、探すだけ進歩と言える。だけどね?好きかも分からない、どの程度石原さんが必要かも分からない、それで頭を違う方向に使い、仕事が進まないのは困るんだよ。」
冷静な幸人らしい発言だった。
「仕事が進めば、探してもいいんだな?水菜の事、教えてくれるんだな?
条件てそれか?」
「まぁ…ね?でもさ、探して何を言うのかな?
好きなのって聞かれて分からんでは、石原さんは対応に困るよ?
俺ならおもちゃが居なくなって惜しくなった程度にしか取らない。」
「……側で話してほしい、笑ってほしい。戻って来てくれたらそれでいい。
これは恋と言わないだろうか?」
下を向き呟いた真に、呆れ顔の梨香。
「恋イコール好き、でしょ?何で分からんて言うのよ?」
「うん…俺もそう思う。真は最初から、いつもは興味のない人事にも口を出して、謝る事も嫌いな癖にそこまでして石原さんを戻した。
好きだと思う………けど、それだけでは石原さんは戻らない。
逆に告白すれば絶対に戻らないと言える。」
顔を上に真は上げて、幸人の顔を見る。
「何でだよ?セフレはもういない。無理に好きになってほしいとか思ってない。命令する気もない!」
幸人は真の顔を真っ直ぐに見て、梨香と顔を合わせた。
頷き、話を始めた。
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