地味だけど綺麗

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地味だけど綺麗

大学を出て二年間会社勤めして、起業。 今時のIT会社。 仕事しながら起業セミナー通って、横のつながり作って取引先見つけて、他の会社にいた友人とその彼女を巻き込んで起業した。 今は大手の会社のHPを引き受けたり、デザインを引き受けたり、システム管理をしてバグやウイルスを処理したり、結構、今時の小さな需要はあるからおかげさまで会社は順調。 社員も30人程に増えてさらに仕事を拡げるつもり。 営業が上手くいき、営業部の担当三人と飲みに行った。 下町の小さな飲み屋。 飯、美味いし、酒美味い! 仕事の話しながらいい感じで酔った。 いい気分だった。 ふとカウンターを見ると、いい女が立っている。 一見、ダサい地味な女に見えるが、あれはかなりの確率で美人。 (酔ってるからそう見えるのかな?) 目をこすり見る。 化粧も薄い、白いワイシャツは清潔感があり、V字の襟元はガン見したくなる。 (157?もうちょいあるか?スタイルいいな。今時、黒髪で肩下辺りまでの髪をそのままにしている。 何で一人で立ち飲み?何であんな地味?綺麗なのに勿体ない。) 本当にそう思った。 思わず声に出した。 「女が一人で立ち飲みしてる!」 水菜、そう聞こえた。 帰りそうだったから思わず声に出す。 「みずな野菜だよ!」 本当は全部の名前を聞きたい。 次の瞬間、突然視界が奪われた。 怒った綺麗な彼女がいた。 一万円札を置いて、言うだけ言って出て行った。 俺はそれを手に追い掛けたけど、もう姿はなかった。 ちょっと気になっただけ……悪い事をした。 彼女の言い分は正しい。 親が付けた名前、俺だって好きじゃないけど人に言われたら嫌だと思う。 一人で立ち飲みしても、彼女は悪いことはしていない。 店に戻り大将に聞いた。 「彼女、いつもどのくらいの時間に来ますか?」 「さぁ……。気が向いたらって感じだし?」 「なんて言うんですか?みずなの上の名前。」 「さぁね?聞いた事ないからね、ごめん、分からないよ。」 俺が彼女に何かしようと思っているのか、本当に知らないのか教えてはもらえなかった。 女が切れた事もないし面倒だからセフレがいて、だからって言うと変だけど、声のかけ方も分からなかった。 気になるんですけど……。 (そう言えば良かったのかな?)
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