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だが、次第にその微笑が曇ってきた。
部隊の最後の班が到着しても、ルドーニの姿が見えないのだ。
ごったがえする兵士たちの中に、ひときわ目立つ鶏冠の兜を被った男を見つけ、ヴァフィラは思いきって声をかけた。
「見たところ、この班の長を務めるものかと思うが」
「は? あ、はいッ! 何でありましょうか!」
サロランニでも随一の美しさを誇る、カラドの魔闘士・ヴァフィラの顔と名を知らない者はいない。
かの人に声をかけられるという誉に、班長兵は愛してはいるがすでにとうの立った妻の手を慌てて振りほどき、背筋を伸ばして応対してきた。
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