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おじいさんは拳銃を、脇の下に吊り下げた、ホルスターにしまい込んでいます。
そして、退屈そうに、ため息をつきました。
「私が子供の頃はね、事件が多くて、銃の規制が厳しかったんだよ」
「二十一世紀前半は、そういう暗い時代だったと、学校の歴史で習いました」
「ほう、今は学校で習うのかい。時代が変ったんだね」
出入り口から、サングラスをした若い男性が、駆け込んできます。いきなり、赤ちゃんを抱っこした女性に割り込み、窓口で拳銃を抜きました。信用金庫の窓口職員さんに、構えました。
「金を出せ!」
お客さんの、女性は赤ちゃんをかばうように、抱きかかえています。私の前の床で、這いつくばっています。せっかく人を撃てるチャンスなのに邪魔!
銃を突きつけられた職員さんは、渋々札束をカウンターに差し出しています。
おじいさんは、わたしに目配せをしています。
『ズキューン!』
おじいさんは、目にも止まらぬ早さで拳銃を抜いたんです。一発で強盗の心臓に、拳銃を命中させました。凄腕です。
膝から崩れ、倒れた男にわたしが駆け寄り、サブマシンガンを連射します。胴体に多数の風穴を開けます。き、気持ち良い、快感です。
男は血溜まりの中で、うめき声を出して仰向けになっても、ぴくぴく体を痙攣して、まだ生きてます。
心臓撃たれて即死といっても、三十秒程度は、生きてるのかな?
三人ほどいた、信用金庫の窓口職員さんが立ち上がり、全員がそれぞれ拳銃を抜ます。ニカッと白い歯を見せながら、何度も何度も、弾が尽きるまで撃ち続けていました。
笑顔の絶えない職場です。
赤ちゃんを抱えていた女性は、全身を震わせながら、信用金庫から、あたふた逃げて行きます。
すぐに職員さんの手で、全てのシャッターが下ろされました。
ビシっと制服に身を固めたお巡りさんが、やって来てくれました。イケメンです! わ、わ、幸運が続く日です。肩から下げたサブマシンガンは、私のより値段は安いです。
悔しそうに、お巡りさんがうな垂れます。
「私も撃ちたかったな」
「いつでも、チャンスはありますよ」
おじいさんが、お巡りさんの肩に手を沿えて、励ましています。
職員さんは、防犯カメラのデータを完全消去したようです。お巡りさんが男の遺体を、大きな袋に足で蹴り入れました。
「男の死因は心臓発作。目立った外傷はなし。事件も事故の可能性はありません」
笑顔で親指を立てて言い切ります。ナイスガイ。わたしも含めその場にいた全員顔を見合わせ、にっこり、頷ました。
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