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『仲間』のために
「ねぇ、どうして君は一人なの?」
彼の背中から何かが問いかけた。
「……僕は、みんなと一緒にいちゃいけないんだ。君も離れたほうがいいよ」
「みんなって誰のこと?」
「仲間のキリンさ」
「じゃあ、僕は一緒にいていいね。だって小鳥なんだから」
そうして小鳥は彼の背中に身を預けながら再び問いかける。
「どうして一緒にいちゃいけないの?」
彼は、見えない方の目を痛々しそうに瞑りながらいった。
「……僕と一緒にいたら、みんな死んじゃうから」
小鳥は何も言えなくなった。弱いものは獲物になる。それがこの世界の定めだからだ。
「じゃあ、僕が君の目になってあげるよ」
小鳥が言うと、キリンは寂しそうに首を振った。
「僕はね、死ぬのを待ってるんだ」
「……待ってるの?」
「うん。誰にも迷惑をかけずに、もうこれ以上自分のことを嫌いにならないように……」
小鳥は再び言葉を失った。
それでも彼が消えないように、少しでも世界を好きでいられるように、側に居続けた。
キリンは背中に感じる小さな体温に片目から涙を流した。
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