カタチ

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彰悟は、私の前にドカッと座ると 「ビギナーズラック。」 そう言って、ビンの1本を私に渡した。 「昔、よく飲んだな。今はピンクなんてあるんだな。」 そう言って、そのピンクを私に渡す。 「もう、飲めるよな?」 「え…うん。」 授乳は数ヶ月前に終えた。 昔、よく飲んだ。…私が好きだったから。 今は、ビンにそのまま口を付けるスタイルとか… ああ、それより、妊娠してから飲んでない。 味覚を通して、思い出す記憶。 鼻に抜ける香りが、時を…戻してくれる。 「うーん…こんな味だったか。ビールの苦さの方が今は好き…かな。」 彰悟がそう言って、私の手からピンクのジーマを取ると一口。 「違いが、分かんねー。」 それから、もう一度立ち上がると冷蔵庫を開けた。 目の前に、プリン。 さっき食べようとした… あれ?食べたよね?彰悟。 「買ってきた。さっきの、賞味期限昨日だろ?まぁ、1日くらい大丈夫だけど。」 ああ、食べてくれたのか、古いの。 じわりと熱くなる目頭に …目に見える物が全てでは… なかった。 そう思った。 「ジーマにプリンは合うのかねぇ。」 そう言って、アイスコーヒーも添えられた。 「ああ、俺、これ、好き。」 焼くだけ、とか… 切るだけ…とか 大知が産まれてから、そんな風になった私の作る夕食の ヘビーローテーションのしょうが焼き。 誰が作っても、同じ。 それをつつきながら、彰悟が言う。
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